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  • No.44

【レビュー】数百通りの音質調整!自分だけの一機に Final MAKE2

更新日:2020年2月13日


どうも、No.44です。

前回の更新から4か月が経ってしまいましたが、未だにレビュー出来ていない機種は残っているのです。旬も大分過ぎてしまったものも多いのですが、数あるレビューの一つとして残ればという思いで今後もちょびちょびと記事を書いていきたいと思います。

では今回はこちらのイヤホンのレビューをしたいと思います。

 

クラウドファンディング発のイヤホンとなると多くが完全ワイヤレス型なのですが、こちらは少数派の有線イヤホンとなっております。加えて国産イヤホンメーカーの雄である Final からとあって興味を惹かれて出資してしまいました。しかし届いたのは昨年の10月…新鮮な情報を贈る事が出来ずに申し訳ないです。色々届き、どたばたがあったのが10月、私は10月に呪われているのでしょうか。

それは置いておいて、

”自分だけの音を見つける。finalが提案する新しいイヤホンの在り方”

と謳われている通り、このイヤホンは自分で音質の調整をする事が出来ます。でもそれだけだと他のイヤホンもフィルター等を変えて音質を変えられるものがありますよね。登場初期での有名どころだと SHURE の SE846 とか。最近だと中華イヤホンに多く搭載されている印象です。とは言っても組み合わせて選択出来る音質は多くて2桁に乗るくらいで選択肢は多いとは言えません。

ではどこが違うのかとなると、作れる音質のバリエーションが半端ではないのです!メーカーが言うにその数847通り。もう少しで4桁台も見えてくるレベルですね。846に近いのは偶然でしょうかね。勝手な想像ですが1つだけ多いのもちょっと因縁のありそうな気がしてきます。

そしてMAKEシリーズは3機種あり、私は丁度ミドルモデルの MAKE2 に出資し入手する事が出来ました。出資額は24600円で公式ストアだと32800円と高級イヤホンの中でも大体中価格帯に入の価格設定ですね。で、到着する前に驚いたのが Final の担当者から出資者へ向けて「発送遅延のお詫び」のお電話が掛かってきた事なんですよね。メールで遅延含め進捗が周知される事は良くある事なんですが、直接一人一人に電話を掛けるっていうのは凄いなと思いました。お詫びの印に Final E2000 という4000円位する有線イヤホンが同梱されてきたのにもまた驚かされたのでした。色々と手厚い…。

ではスペックの方も見ていきましょう。

 

【スペックや使用感について】

搭載ドライバーは、バランスドアーマチュア(BA)型1基とダイナミック型1基を組み合わせた2ドライバーのハイブリッド型となっております。Finalからハイブリッド型イヤホンが出るのってこれが初めてなのではないでしょうか。今までというか Final Audio Design の時代からダイナミック型かBA型どちらかで、1基のみのシングルドライバーを使ってチューニングの妙で高音質と個性を発揮するメーカーの印象があったので見つけた時は驚きました。上位モデルの MAKE1 は3BAドライバとなっておりこちらも含めてFinalの新たな試みではないかと思います。

入力感度は92dBで、インピーダンスは13Ωとあり今まで自分が扱ってきたイヤホン達よりも多くの出力を必要とします。手持ちの Earstudio 基準ですが100dB以上の大体のイヤホンのボリュームが3~4割程度なのに対してこのイヤホンは7割位のボリュームで同じ程度の音量の塩梅になりました。

周波数特性については、見つける事が出来なかったのですがメーカー公式サイトの特性グラフを見ると40kHzまで描かれているので、ある意味ハイレゾ対応と言えちゃうのではないでしょうか。

筐体はステンレス製でガンメタリック仕上げとなってます。実際に見た感じまさに鏡ですね。触ると指紋が目立っちゃいます。綺麗なだけに指紋や汚れが目立つのはちょっと悲しくなっちゃいますね。気になる人は常にクリーニングクロスとかを持ち歩く様にした方が良いです。金属と言う訳で重量も34gと手に持つとその重さをしっかり感じられます。この重さがまた高級感を感じさせてくれるんですよね。金属筐体のさだめと言うか、寒い日に着用するとヒヤッとします。角張った見た目ですが装着感は自然で良いです。筐体サイズが比較的コンパクトで耳に触れる側の角が丸くなっているのもありますね。各点で支える感じで密着感は抑えながらもしっかりと固定出来ているみたいで、歩行でもずれる事は無いかと思います。

下の説明画像では緑、青、赤の各一点の三か所でイヤホンを保持する造りになっているみたいですね。ただお洒落な形状、と言う訳では無いという事です。

遮音性については通り掛かった車の走行音が少し聞こえるので、しっかり密閉するWestoneやSHURE社のIEMに比べると余り高くないかと思います。

コネクタは、リケーブル可能なMMCX型を採用しています。コネクタ部分がぴょこんと飛び出ておりクリアランスもある程度確保されているので大体のMMCXケーブルは対応しているかと思います。(WestoneタイプのMMCXケーブル持っているのに試してませんでした。その内やってみます。)そして付属するのがOFCケーブルです。編み込みでは無く2本のケーブルがそのまま左右に分岐する様な形状になっています。個人的にはねじねじされたケーブルが好きなんですが「なら自分で買って用意しろ」って事になりますね。後は耳掛け想定ならフック状に被膜で固定して欲しかったなぁと思います。イヤーフックは付いてくるのですが別パーツっていうのがどうにも…Westoneのケーブルに慣れちゃったのがいけないんです。あれが自分の好きな使用感のケーブルですね。

後付属品でシリコンシートっていう面白いのが入ってまして、ケーブル脱着の際にシートで挟む事で摩擦を増やして脱着しやすくするものなんですね。こういった手心があるのがFinalの良い所でもあると思います。

 

【音質調整(チューニング)について】

MAKE2のチューニングは、基本的に音導管、ドライバ開口部、ベントの三か所に密度の違うフィルターを装着する事で行っています。このフィルターの数がまた多いんです。下の画像の様にメッシュとスポンジの2種類のフィルターが付属してきます。これらを用いて音の通りや空気の動きを調整する訳ですね。

公式サイトから分解図を。上から順にドライバ開口部、ベント、音導管と配置されています。

チューニング作業は付属する以下の道具を用います。各密度のフィルターに、筐体を開けるドライバー、フィルターの貼り付けや設置を行うピンセット、フィルターの固定を行うアコースティック治具、そして各々の耳穴にフィットするサイズのイヤーピースとなってます。

チューニング作業は根気と、ある程度の妥協が必要になってくると思います。特に筐体内部のフィルター変更は、筐体を開く⇒フィルター貼付⇒筐体を閉じる⇒聴く、の流れで何度も繰り返すと手間も時間も掛かってきます。慣れるまではお手軽で筐体を開かなくて良い音導管とベント辺りのチューニングから始めていくと良いのではないでしょうか。また基本的にフィルターは特定の帯域を減衰させる作用があるので、「高域を増やしたい!」と考えた時は低域を減衰させて相対的に高域を高める必要がある訳ですね。

フィルターによる周波数特性の変動は公式サイトにてとても詳細に説明されているのでそちらを見た方が圧倒的に早いですね。

 

【音質について】

普段のレビューでは各帯域の量感を簡単に表したグラフを付けるのですが、今回は音質チューニングで傾向を変える事が出来るので余り参考にならないと思い省略しております。代わりに自分の MAKE2 チューニングレシピをお付けします。(「これいる?」とかは聞かないで下さい)環境はEarstudio直となっています。

【全体的な印象】

開封当時の初期状態での印象ですが、Finalらしいと言うかボーカル(特に女性Vo)の映える音色で低音も必要十分。高音は少し金属的な鳴りで好みの分かれる所です。以下の各帯域の評価も初期状態で行っています。

【低域】

メーカーは迫力ある低音と謳ってますが、自分としてはもう少し量感があっても良いのではないかと感じました。ドライバがしっかりと制動されているのか籠り感の少ない解像感のある音で主張はそこまで強くなく、音圧もハイブリッドとしては比較的少な目ですね。暖かみもありつつ膨らみ過ぎないナチュラルな傾向だと思います。その後ベントにフィルターを当てる事でかなりの量感アップに繋がりました。

【中域】

ボーカルは近過ぎず離れ過ぎずの丁度良い塩梅に聴こえます。解像感もありつつ僅かに暖かみも感じられる(ドライ過ぎない)、このイヤホンの魅力的な点の一つですね。初期状態だと少し歯擦音が気になりました。低域からの繋がりも自然で、量感は少し多めなものの上手くバランスが取れている印象です。

【高域】

ハイハット等のパーカッションがアタック感強めの金属的な鳴りで刺さりを感じる方も居るかも知れないです。この金属感を癖の一つとして楽しむのも一興かと。また残響感・煌めきは少な目で、強調感はありません。BAドライバーは中域から中高域にかけてフォーカスを当てている様に感じます。

【No.44のチューニングレシピ】

ドライバ開口部:なし

ベント:なし

音導管:フィルターB-1,B-3+フィルターA-1

【チューニングイメージ、感想など】

まずは低域が欲しい、そして高域の金属感をマイルドにしたい、ボーカル(中域)は初期状態をある程度維持するといったイメージでチューニングをやってみました。最初に音導管にフィルターAを密度の高いものに変えて低域を強調しようとしてみたのですが、そうすると中高域が籠りがちでおざなりになってしまう印象だったのでフィルターBの密度を高くしてAは密度の低いものにする事で対処する事にしました。フィルターBは二重に入れたんですが、ただ一個だけ入れるのもなんだと思い組み合わせて使用してみました。正直フィルターAは無い方が良かったのですが、耳垢の侵入防止も兼ねて採用しています。ベントへのフィルターは単純に検討してませんでした。低域の量感を大きく変化させられるみたいなので今度試してみます。

チューニング後のMAKE2ですが、高域の金属感は大分弱まり低域のトップとミドル辺りが強調された様になりました。自分的には癖を消してバランス良くなったのですが、初期状態の面白みが減り器用貧乏になってしまったとも感じました。EDMを聴いてもぱっと来ない、逆にクラシックでもそんなでもない…で合う曲を探していたら、丁度 Perfume が掛かりバシッとハマった様な感覚を覚えました。ボーカルに解像感とアナログ感が絶妙なバランスで混在しており、サブベースより若干高い所で鳴るSAWベースが良く響いて聴いていて心地よかったのです。思わぬ発見でしたが、このイヤホンの面白い所でもありますね。

【No.44のチューニングレシピrev2】

ドライバ開口部:なし ベント:フィルターA-10 音導管:フィルターA-1

その他:純正から中華リケーブルへ変更↓

【チューニングイメージ、感想など】

そういえばベントのチューニングって試したことなかったなぁという事で一番密度の高いA-10をあてがったのですがこれが好みにドンピシャでした。周波数特性表でもベントチューニングが一番目に見えて低域が変わっているので聴感上の変化も大きい訳です。ダイナミックの本領発揮と言った具合で、低域に音圧(空気感)が伴いかなり力強くなりました。ちょっと中高域の主張が弱く、音導管のBフィルターが逆に邪魔に感じたため取っ払い、一番密度の低いA-10を耳垢侵入防止の目的で残しました。これで以前よりも中高域を担当するBAドライバーの音をダイレクトに感じられる様になりました。ですが、それ以上に中低域ががっつり出るのでバランス的には上≦中≦下の弱ピラミッドバランスですね。そして純正ケーブルから気になっていた安価な中華ケーブルに変更しました。8芯の銀メッキ銅ケーブルという事で低域と中高域が強調され更に音が濃くなった印象を受けます。初期チューニングから低域ががっつり強化され、かなり個性が強くなりましたが歩行中でも音楽をしっかり聴かせてくれ、ボーカルの生々しさは健在なので個人的には凄く満足出来ています。低域はベントを弄るのが早いですね…!微妙な調整は今後イヤーピースの方も検討してみたいなぁと思います。


【No.44のチューニングレシピrev3】

rev2から音導管フィルター無し&ケーブルを純正に&イヤピをSpiral Dotへ変更

【チューニングイメージ、感想など】

rev2の音(特に中低域)がちょっと濃すぎるなぁと思ったのでケーブルは純正のOFCケーブルに戻してみました。そして高域の明瞭感ももう少し欲しかったので耳垢のリスクを承知で音導管のフィルターを無しに。プラスαでイヤピもスパイラルドットに変更しました。弱ピラミッドバランスが少しフラットに近付き、長時間の音楽鑑賞もイケそうな感じに。迫力はありつつ低域から中高域の繋がりも自然で心地良いですね。当分はこれで良さそうです。

 

【感想とか】

所有者のチューニング次第で色んなタイプに化けるイヤホン、面白いですね。それが自分の狙った音でなくても合うジャンルや曲を発見させてくれたり、今後も微調整を加えて自分の目指す音を追求したいと思わせてくれる一機です。

メーカーが公称する調整パターンは847通りですが、実際はそれに限らず自分で他の素材を用意してみたり、ちょっとDIYしてみたりとパターンは数え切れない程存在します。(自分のフィルターを組み合わせる方法もその一つですね)後はTwitterのハッシュタグで「#final_MAKEレシピ」と検索してみると多くのユーザーが作成したMAKEのチューニングレシピが公開されています。そう来たか!というチューニングも多くあるので参考にすると面白いですよ。

最後にプロダクトサイトからの引用で、Finalとしては修理をしながら永く使い続けられる製品であって欲しい、それがアンティークとなり得る製品であって欲しいという考えがあり、造りからしてそのこだわりがこちらのイヤホンに散りばめられている様に思います。いつかイヤホンもレア物の他にヴィンテージ扱いされるものが出て来るかも知れないですね。

そして現在はMAKEシリーズの後継とも言える、Bシリーズが展開されています。下の商品リンクに載せておきましたので興味のある方は是非そちらも覗いてみて下さい。

 

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