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  • No.44

【レビュー】DUNU DN-1000 ハイブリッド黎明期のハイコスパな一機

今回はこちらのイヤホンを入手しましたのでレビューしていきたいと思います。


DUNUと言えば以前TITAN Sをレビューさせて頂きましたが、低価格ながらフラットで細やかなサウンドが魅力的でしたね。ケーブルの質感も良く結構気に入っています。

先日帰省がてらにeイヤホンに立ち寄った所、イヤピ無し、音質調整リングのみの中古品が置かれているのを見て気になり試聴してみた所、想像以上に好みの傾向に近い音だったので同じく中古品が置かれていた後発の上位モデルであるDN-2000Jとひたすら聴き比べて悩んだ末にDN-1000を選びました。


DN-2000Jは一聴して分かる癖の強さがあり、軽やかでよく伸びる中高域が個性なのですが自分には少し軽過ぎる様に感じられました。確かに手持ちには無い個性なのですが日常的に使うと考えるとよりバランスの取れたサウンドであるDN-1000の方に軍配が上がりました。

2000Jと1000の間に3倍もの価格差があったのも大きいですね。


それでは本題に入っていきましょう。

 

【スペック】

  • ドライバー構成:BA2基(高域) + DD1基(10mm、フルレンジ)

  • インピーダンス:10Ω

  • 周波数特性:16Hz~22kHz

  • 感度:98dB

  • ケーブル長:1.2m

ハウジングは銅製で26gと手に持つとしっかり重量感があります。金属ハウジングでSHURE掛けせず使えるイヤホンはintime 碧 Antiqueのレビュー以来ですね。

 

【使用感】

  • 感度:他の手持ちのBAのみの機種に比べて音量を必要とします。所有機のR5でBAのみの機種がボリューム30台に対しこちらは40台程で近い音量バランスになる印象です。

  • フィット感:intime 碧 Lightに比べると一回り大きく、耳の小さい方は耳奥まで押し込めない可能性があります。かつ金属筐体で重量もあるためイヤピ選びが重要ですね。音質調整リングで小さ目のイヤピをハウジングから浮かせて奥まで押し込む事である程度は改善出来ます。自分の場合は final の EタイプのMサイズをはめる事でそれなりにフィットしていますが歩行中に特に左側が緩んでくる為改善の余地がありそうです。試しに2段フランジの Spinfit CP240を試してみた所、フィット感は向上しましたが低音が膨らみフラットなバランスから離れてしまったので好みの別れる所です。

  • ケーブル:ツルっとした質感で高級感は余りありませんね。弾力はそれほどなく巻くのに苦戦しませんが若干巻き癖が付きやすいです。タッチノイズが結構あるためSHURE掛けする事で軽減出来ます。私の購入した物は中古品だったので付いてきませんでしたが標準で耳掛けフックが付属してきます。

  • メンテ:ハウジングはステム部分以外は凹凸の無い造りのため手入れはし易いです。音導管にはフィルターが付いており耳垢等の侵入の恐れもありません。

 

【音質について】

※上の表は音の量感を表したグラフで、高いほど高音質と言う訳ではないのでご注意下さい。環境はHiby R5直接続です。音質調整リングは未装着です。


【低域】

柔らかさと空気感を程よく感じるDDらしさを残しながらも主張自体はそこまで強くなく、中高域を邪魔しない丁度良い塩梅に仕上がっています。低音の芯が感じられスピード感や弾力感があります。首下まで来るような低音の沈み込みはそれ程感じませんね。音空間は広くなくあくまでも頭の中で鳴っている感覚で低音方向へのレンジの広さは余り無いです。解像感はそこそこでちょっと輪郭に甘さを感じます


【中域】

強調感も癖も少なく比較的素直なボーカルです。2000jだと歯擦音が目立ちとにかく刺さる印象なのですが1000では程よく角が取れておりボーカルの生々しさや旨味をしっかり表現してくれます。若干線が細く繊細な鳴りなので男性ボーカルよりも女性ボーカルの方がより映えると思います。ドライとウェットの中間で透明感がありボーカルの瑞々しさの表現も上手ですね。特にコーラスがぶわりと左右に広がる感覚は中々に気持ち良いものがあります。


【高域】

BAらしいシャリっとした金属的な響きや粒立ちの良さがポイントですね。良い意味で64AUDIOのU4-SEの様なクリスピーな粗めの中高域で、この程よい粗さが音の情報量の少なさを上手くカバーして粒立ちの良さを引き立たせてくれています。シンバルやハイハットなど鳴り物類はドライで乾いた鳴りですが金属筐体の響きが乗るのか残響感は確かに感じられます。


【全体】

バランスとしてはフラットから弱ドンシャリの間くらいに位置しており、分離感を担保しておりつつも全体の纏まりも感じられます。DUNU製品はこの辺りのバランス感覚に優れたものを多く出していますね。解像度やレンジ感については一昔前の製品として現行のミドルクラスには確かに負けている一面もありますが全体のバランスの良さで今でも戦っていける一機です。音場感についてはスタンダードな頭内定位でそれほど広くは感じませんが中高域が明るく開放的なので狭くも感じないといった塩梅です。ボーカルの表現力の上手さもこのイヤホンの魅力を後押しする一因となっています。

 

DN-1000との出会いは学生時代友人が使っていたのを聴かせてもらったのが初めてで当時Westoneのウォームなサウンドに慣れ親しんでいた私には余りしっくり来なかったんですが、今改めて聴いてみるとその音の完成度の高さ・コスパの良さに驚かされました。もうちょっとハイ上がりな音の印象があったんですが友人の機種のエージングが済んでいなかったのかそれとも自分の耳が衰えてきたのか…ともかく良い音に再び出会えたことに感謝です。


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