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  • No.44

【レビュー】Audiofly AF1120 MK2 どこか懐かしさ感じるナチュラルモニター

どうも、のんよしです。

今回はこちらのイヤホンを入手しましたのでレビューしていきたいと思います。


Audiofly AF1120 MK2
Audiofly AF1120 MK2

このイヤホンの存在は知っておりました。それは確かいつかのヘッドフォン祭での事。Audioflyブースに展示されているのを聴かせて頂きました。聴きやすいサウンドで中々好印象だった覚えがあります。SHUREやWestoneライクな装着感の良いシェルを採用していたのも良かったです。クリアシェルで中身がしっかり見えるのも格好良いですね。


きっかけはフリマアプリで程度の良い中古品が流れていたので2週間ほど悩んだ末に3万円で購入しました。新品価格はeイヤにて約73000円なので中々お得に買えたのではないでしょうか。といっても6ドライバーでこの新品価格、昨今のフラグシップクラスの高価格路線を見ていると中々コスパの良いイヤホンでもあると思えます。


それでは本題に入っていきましょう。

 

【スペック】

  • ドライバー構成:バランスドアーマチュア方式(低域x2、中域x2、高域x2の6ドライバー3WAY)

  • インピーダンス:11Ω

  • 周波数特性:15Hz~25kHz

  • 感度:109dB/1kHz

  • ケーブル長:1.2m


ネットワーク回路に「バターワースフィルター」というものを搭載しています。フィルターとは各ドライバーの出す音を特定の周波数でカットしてドライバー同士の音のぶつかりを軽減する為に搭載する回路で、昨今の複数ドライバーを搭載するイヤホンでは一般的なものとなっています。

そもそもバターワースフィルターってどういったフィルターなのか調べてみると、信号のカットが平坦で凄く滑らかに遷移するフィルターって事ですね。一般的なフィルター回路と比べるとカットする帯域の前後にぴょこんとディップが出ていないので違いが何となく分かります。これが音の歪みの除去に繋がっているみたいですね。

左上の図がバターワースフィルタ(Wikiより引用)
左上の図がバターワースフィルタ(Wikiより引用)

ちなみに音導管は1つに纏められて出てきています。SHUREやWestoneのイヤホンと同様ですね。

内部構成
内部構成
 

【使用感】

  • 感度:他の手持ちイヤホンに比べると僅かに音量を取りますが、比較的音量は取りやすい部類です。(他イヤホンのボリュームが43に対しこちらは47程度で丁度良い塩梅)

  • フィット感:SHUREやWestoneライクな楕円形に近いシェルを採用しており、耳の耳甲介腔部分にすっぽり収まります。6BAも搭載していますが小振りなシェルでフィット感はとても良好です。耳からはみ出す事もありません。

  • 遮音性:ベント等も無く、良好な部類かと思われます。音導管を塞ぐと私の普段聴く音量ではほぼ音漏れしません。

  • ケーブル:登山用ロープにも用いられているCordura素材が編み込まれた布巻きケーブルが分岐部分まで続いています。程よい弾力で癖も付きにくく取り回しも比較的しやすいですね。耳掛け部分は形状記憶被膜でフック状に固定されており耳掛けもやりやすいです。コネクタは一般的なMMCXになり無印版にあった特殊機構(凹凸)も無いので他社製ケーブルにも無加工で交換できます。ケーブル長も無印版の160cmから120cmに変更されました。これは良い改変ですね。

  • メンテ:シェルは凹凸が少なくなだらかな造形なので手入れがやりやすいですね。クリーニングツールがあれば音導管に入った耳垢の除去も容易です。

  • その他:ケースは少し大きめのペリカンケースの様なハードケース。付属品を全て入れても余裕あるサイズで色々と保護して持ち歩きたい方にはありがたいでしょう。イヤーピースは標準でコンプライが付属してきましたが、装着時に毎回イヤピを潰すのが手間だったので細軸のスピンフィットに交換しました。籠り感というか高域の閉塞感が少し改善されたので中々おすすめなイヤピです。付属のものだけで何とかしたい場合はトリプルフランジタイプが次点でおすすめです。

 

【音質について】

※上の表は音の量感を表したグラフで、高いほど高音質と言う訳ではないのでご注意下さい。環境はHiby R5直接続です。


【低域】

良くも悪くもBAらしいウォームかつタイトな低域です。量感は控えめですが音が柔らかく耳の下部方向へすっと広がって抜けます。強調感や圧迫感は全くなく聴き疲れとは無縁でしょう。DDドライバーの様な深く沈み込む感じを生み出すサブベース成分が弱いので低音好きには余り印象良くないかも知れません。エッジ感は弱めですが解像感は損なっていないバランスがあります。


【中域】

このイヤホンの魅力の一つでしょう。ボーカルが近く前面に立っている様に感じられ、コーラスがワイドな広がりを持っているので表現力があります。音は近いのですが耳当たりの優しい音で窮屈さは余りありません。ボーカルはウェットでしっとりとした生々しさを感じられます。低域や高域との繋がりも非常に滑らかで自然です。歯擦音や破裂音等も全く刺さりません。そのためハッとする様なブレスや息遣いは弱いので明瞭感は余り感じないかも。


【高域】

Andromedaの様な煌く感じはなく、伸び等も柔らかくカットされている印象を受けました。優しくウォームな音を形作る要因の一つになっており、今風のハイファイな音ではないので籠りの様にも感じ人は選ぶと感じました。残響感もなくあっさりとしており刺さりやシャリつきとも無縁です。中域(ボーカル)のちょっと上方向から聴こえる様な感覚があります。


【全体】

バランスは中>低=高といった若干かまぼこ~フラット寄りですが、どの帯域が強調されていると言う事もなく聴き疲れする様な成分は入っていません。とにかく圧が弱めで音が優しく、丸みを帯びておりマイルドで癖が無くウォームでナチュラルな印象です。ネットワークの造りが上手く、低中高の繋がりも滑らかです。

弱点としては低域と高域がチューニング等により意図的にカットされている感じがあってナローレンジに聴こえる点ですね。高域の煌きや伸び、低域の沈み込みは弱いです。後最近のイヤホンと比べるとどうしても解像感・明瞭感に差を感じます。薄くベールを被っている一昔前の高解像イヤホンを聴いている様な感じがありますね。これに籠り感を感じる人も居ると思います。今風の音じゃない様に感じます。しかしあえて不快に感じない範囲で解像感を落としている様にも思えます。

また、定位感に優れている印象で空間表現が上手く、楽器や声がどこから鳴っているのかが分かりやすいですね。その位置関係の明瞭さによって音に立体感が生まれておりモニター系なのにつまらなさを感じさせません。SHUREのSEシリーズ等にちょっと音の傾向は似ていますが平面的な印象があったので、そこが大きな違いとなっています。

音に纏まりが感じられるので、質の良いシングルドライバイヤホンの様にも感じられました。個人的に合うと感じたのはしっとりした落ち着いた雰囲気の曲ですね。

【Westone ES60と比較】

同じドライバー構成の6BA 3WAYのカスタムIEMであるES60ですが、比較結果としては似ている所もありつつ違う方向性のナチュラル系だと感じました。どちらも音に暖かみがありボーカルがウェットで生々しいですね。ES60の方が解像感やレンジの広さは一枚上手でAF1120が昔ながらのアナログな音に感じられます。レビューを検索していた時に「ヴィンテージの枯れも感じられる個性派」とありましたが、良い得て妙だと思います。

人におすすめするなら私はES60の方を選びますね。モニターにもリスニングにも使える万能さがあり音楽的に楽しいので。しかし聴いていて疲れを感じない優しさがあるのはAF1120です。

ES60とAF1120比較
ES60とAF1120比較
 

肩の力を抜いてリラックスして何時間でも音楽を聴けるナチュラル系スルメホンですね~。ちょっと疲れている時もちゃちゃっと装着してすぐ音に浸れる、そんな日常に寄り添ってくれる魅力があります。

一つのイヤホンの音に慣れた耳をリセット出来るのでイヤホンを評価する時の基準となるリファレンスになれるポテンシャルも秘めていると感じました。


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