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  • No.44

【レビュー】カナルワークス CW-L33LV 鼓膜揺さぶる骨太な低域

どうも、のんよしです。

今回はこちらのイヤホンを入手しましたのでレビューしていきたいと思います。


CW-L33LV
CW-L33Lv

出会いは先日の ヘッドフォン祭2022mini 。 カナルワークス のブースに行きスタッフさんに「普段どんな曲を聴きますか?」と質問されキョドりつつも「EDMですかね…」と答えた所、そっとじゃあこれをと CW-L33LV と CW-L33BB を手渡されたのでした。その下品でぶっとい低音(誉め言葉)に噴き出しかけた私は思わず何度もLVとBBをとっかえひっかえ試聴してしまいました。試聴させてくれたブースの方に感謝です。


LVの方が癖が強めに聴こえて面白かったのですが、ヘ祭後にLVはBBに吸収されてしまいラインナップから無くなってしまうんですと言われ、うんうん悩みました。


帰ってからもその音がずっと印象に残っていた私は祭のセール画面を眺めていると、セール価格でLVが並べられているのを見て飛びついてしまうのでした。といっても値下げ幅はそんなに大きくなかったんですけどね、価格は148500円の所143000円でした。

登場当時の価格が11万台だったのを思うとつくづくタイミングの悪い人間だと思います。まぁ馬鹿な事をしていると毎度思いながらも音を気に入ったならオタクは突撃するしかないのです。


オーダーしたのが5月初めで届いたのが6月末と約1月半での到着でした。流石国内メーカーなだけあって届くまでが中々早いですね。他の国外メーカーだと2~3か月待ちがザラなのでありがたい限りです。


CW-L33LVのレビュー読み物として面白いのはやはりBARKSさんの記事、ぜひこちらも合わせて読んでみて下さい。

それでは本題に入っていきましょう。

 

【スペック】

イヤホン全景
イヤホン全景
  • ドライバー構成:バランスドアーマチュア方式(高域×1.中域×2.低域×2の5ドライバー3WAY)

  • インピーダンス:29Ω

  • 感度:113dB/1kHz

一見スペックは至って普通なBAイヤホンですが、このイヤホンを特徴づけているのがカナルワークス独自開発の高次音響フィルターです。

カナルワークスの高次音響フィルター
カナルワークスの高次音響フィルター

高次音響フィルターの様子
高次音響フィルターの様子(画像中央の青いパーツ)

このぐるぐる巻きが高域を減衰させBAドライバのウーハー化を手助けしています。いわゆるローパスフィルターです。似た機構を有名どころで言うと SHURE の SE846 に搭載されているフィルターでしょうか。あのイヤホンも音導管を長く長く設計する事でアコースティックに高域の減衰を生み出しています。高音、周波数の高い音は低域に比べて音の反射による減衰が早い事を利用したアナログな仕組みなんですね。

SE846のローパスフィルター
SE846のローパスフィルター

そんな独自機構を搭載したイヤホンとだけあり迫力ある重低音を得る事に成功しています。


今回IEMのデザインは、シェルカラーがブラック、フェイスプレートがクリア、エンブレムがゴールドで仕上げて貰っています。ブラックのシェルがドライバやフィルタを引き立ててくれており、狙い通りの格好良さです。ブラックは半透明でさりげなく中身が透けるのがまた良いですね。シェル先端もブラックかと思ったらクリアになってました。これはこれでアリですね。最近発売された CHIKYU-SEKAI の 16/COSMOSにちょっと似てますね。

3WAY構成ですが音導管を見てみるとボアが2つ、低域用と中高域用に分かれています。

音導管は2ボア
音導管は2ボア
 

【使用感】

  • 感度:他の手持ちイヤホンより若干音量を取りますが比較的音量は取りやすい部類です。(他イヤホンのボリュームが43に対しこちらは50程で丁度良い塩梅)

  • フィット感:今回CIEMを作成するにあたり、耳型(インプレッション)を採取する時は 64AUDIO N8 の時と同様に割り箸を横向きに噛んで採取しました。結果としてきつ過ぎずゆる過ぎずの丁度良い塩梅で圧迫感少なく軽い装着感に仕上がりました。異物感が少なくカナルワークスのモットーである ”何も足さない、何も削らない” シェル造形で非常にフィット感は良好です。国内メーカーなのでリフィットする場合も比較的送りやすいのは良いですね。

  • 遮音性:ベント等開いていないので音漏れはほぼありません。

  • ケーブル:標準的な編み込みケーブルで、軽く柔軟で癖も付きにくいですね。総じて使い勝手が良いです。耳掛け部分は針金タイプでフック状に固定でき耳掛けしやすいです。コネクタ部分は埋め込み2pinで耐久性にも期待できます。

コネクタは埋め込み2pin
コネクタは埋め込み2pin
  • メンテ:標準的なCIEMらしくメッシュ等無しのむき出しの音導管なのでクリーニングツールはあった方が良いですね。

  • その他:ケースはセミハードケースを選択しました。余裕あるサイズでCIEMとケーブル、付属品類がすっぽり入ります。また付属品にケーブル取り外し用のクリップが同梱されていました。試しにこれでケーブルを引き抜いてみましたが力が込めやすく引き抜きやすくなりました。爪も痛めませんしピン折れのリスクも少なそうなので今後ちょっと固いコネクタはこれを使ってみようと思います。MMCX Assistならぬ2pin Assist?

引き抜き用クリップ
引き抜き用クリップ
 

【音質について】

※上の表は音の量感を表したグラフで、高いほど高音質と言う訳ではないのでご注意下さい。環境はHiby R5直接続です。


【低域】

一聴して分かる低域の太さ・力強さが一番の魅力でしょう。ふくよかでぶわりと左右に広がる空気感あるベースが全面に主張してきます。ドゥンと頭蓋骨を揺さぶられるかの様なインパクトがあり、BAのみでこれ程の量感と空気感ある低音を鳴らす機種は中々出会えないと思います(だからオーダーしたのですが)。しかしスピード感がありそこまでまったりしていないのでクドさは余り感じません。これはリリースが短くアタック感が強い事に起因する一面もあるでしょう。音の線がとにかく太いので人によってはボワボワと締まりのない甘い低音に感じる方も居るかも知れません。ですが質の悪いDDの悪酔いする様なうねりのある低音ではなくダイレクトに鼓膜に届くストレートな低音なので後味さっぱりで低音酔いしやすい私でも意外とすいすい長時間聴けてしまいます。


【中域】

若干低域に被っているというか帯域が繋がっている印象を受けますが引っ込むことなくしっかりと前に出てきます。この子が単純なドンシャリじゃない事を示しています。ドライでさっぱりとした鳴りで籠り感はありませんボーカルやコーラスがちょっと窮屈というか狭い空間で鳴っている印象がありますね。歯擦音はボーカルによって刺さったり刺さらなかったりという塩梅。


【高域】

低域や中域に負けず前に出てきて粗さも無く丁寧な鳴りです。籠り感や頭打ち感は無く比較的自然に伸びます。ハイハットなどアタック感があり、金物がドライで歯切れよく小気味よいです。金属的な煌めき感を若干感じる粒立ちの良い中高域ですね。耳障りなシャリつきもなく、試聴機で感じた音に強調感や作りもの感がなく割と自然に感じられました。


【全体】

バランスとしては低>中=高といった台形な印象ですが、強烈な低域以外は癖も無く比較的素直な鳴りで帯域がある程度セパレートされているお陰かバランス良く鳴っている様に錯覚させられます。低域が凶悪なのに中高域がするすると耳に入ってくる様な不思議な感覚がありますね。これが高次音響フィルターによる低域BAの完全なウーハー化による効果なのでしょう。音と音の空間が空いているのでインパクトはあるものの意外と中高域はすっきりとした印象を受けます。中高域も丁寧にしっかり前に出て煌びやかさもあるので音が暗くなりませんね。サウンドステージは低域が豊かなので一瞬広く感じますが中高域がちょっと窮屈なのでそこまで広くはありません、全体的に音が近いですね。

試聴機はもう少し低域と高域の主張が強くまさしくドンシャリ超えてドゥンチキな凶悪サウンドだったのがカスタム化で大分角が取れて丸くなり良い意味で裏切られました。中高域も試聴機より強調感・音の作りもの感がなく自然な鳴りとなって非常に聴きやすいです。どれだけ試聴機が鼻づまりなサウンドをしていたか思い知りました。カスタム実機は化けますよこれは…!


【CW-L33BBとの比較】

気になるのがチューニング違いのモデル、CW-L33BBとの比較なのですが私の試聴した感想

としてはBBの方が更に低域よりでトーンの暗い落ち着いたサウンドでした。しかし落ち着いたとは言えど低域が強烈なのは変わりありません。LVの方が低域の量感自体は多かったんですよね。実機になって大分落ち着きましたが。より重く沈み込む低音に包み込まれたいならBBを選択するのも十分アリでしょう。幅広く聴くならLVかなぁといった所。

 

数あるCIEMの中でもドが付くほどの低音機種、当然ではありますが低域の評価が濃いものとなってしまいました。一聴してノックアウトされるパンチ力ある低域はカナルワークスの技術開発の結晶であるなと感じましたね。あのぐるぐる巻きなフィルターはずっと眺めていられます。

量感はたっぷりなんですがクド過ぎず後味はさっぱりとした感じ、DDの濃い低音はちょっと疲れるけれど低音自体は好き、特にBAの低音が好きな方は是非BBと共に試聴して欲しいと思いました。しかしLVは今年5月末で販売終了…今後は33シリーズはBBのみのラインナップとなります。出来ればバリエーションを残しておいて欲しかったと思うのでした。絶対LVももっと人気になれるはずなんだけどなぁ。


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