【レビュー】DUNU TITAN S 1DDエントリー機の実力やいかに
- No.44
- 2022年2月16日
- 読了時間: 6分
更新日:2022年2月18日
どうも、のんよしです。
今回はこちらのイヤホンを入手しましたのでレビューをしたいと思います。

2022年最初の有線イヤホンレビューになります。
価格は80USDで日本円だと大体8000~10000円辺りで購入する事が出来るかと思われます。価格帯的には準エントリー機になるでしょうか、最近のA10000機種は出来の良いイヤホンが多い印象で期待が膨らみます…!
ちなみに日本で販売が開始されるのは2022年3月からとの事。これは今後購入検討される方の為にも少しでも参考になるレビューを書き残さなければいけないですね。
DUNUといえば「ゼンハイザー社のイヤホンと同等の音質クオリティと、Monster社のデザイン性、そして価格はそれらの3分の1」を目標に掲げていたのが私の中で印象に残っています。自分が初めてDUNUの存在を知ったのはAKGのK3003ライクなDN-1000やDN-2000の登場でしたね。K3003と同じ構成でこの価格か…!と驚かされたものです。今回のTITAN Sはどう驚かしてくれるのでしょうか。
デザインを見てみるに何となく以前所持していた final の Makeシリーズ を彷彿とさせる気がしますね~。今までのDUNUのTITANと銘打ったイヤホン達はSHURE掛けをしないもの達だったのでどういった意匠の変更があったのか気になる所です。
それでは本題に入っていきましょう。
【スペック】
ドライバー構成:11mm ポリカンデンセイト クリスタルポリマーダイアフラム ダイナミックドライバ
インピーダンス:32Ω (1kHz)
周波数特性:5Hz-40000Hz (1kHz)
感度:110 ±1dB (1kHz)
THD(全高調波ひずみ):0.3% (1kHz)
ケーブル:高純度ミクスドストランドモノクリスタル銅&シルバープレーテッド銅
クリスタルポリマーダイアフラム、いわゆるLCPと呼ばれるDDを搭載しています。高格帯のイヤホンにも採用されているドライバですね。ハウジング外側には大きくベント穴が設けられているためセミオープンもしくはオープン型のイヤホンになります。

ケーブルは単結晶銅と銀メッキ銅のハイブリッドケーブルになります。コネクタが埋め込み2pinタイプのため他社製ケーブルと合わない場合があるのでご注意。
【使用感】
感度:スペック上は他のイヤホンと余り変わりありませんが、若干音量を必要とします。
フィット感:筐体のサイズが小振りなので耳への収まりは良い部類です。ステム部分が若干長めなため、大き目のイヤーピースだと筐体が耳から少し浮いてしまい、ケーブルとイヤピだけで支える形となりフィット感を損ねてしまうので普段より小さ目のものを選ぶと良いでしょう。
遮音性:純正イヤピは若干固めで耳穴に柔軟にフィットしない傾向のため純正のままだと少し遮音性は低め。またハウジングにベント穴が外向きと内向き2か所に設けられているのでそこも遮音性の低さに影響しているかと思われます。ベント穴からそこそこ音漏れがありますね。
メンテ:音導管は金属メッシュでカバーされており耳垢が中に入らない様になっています。
ケーブル:耳掛け部分は皮膜でフック状に固定されており耳掛けし易いです。ケーブル自体も柔軟性と程よい重みがあり巻き癖が付きにくく非常に使い勝手の良いケーブルです。ケースへの収納もやり易いですね。
その他:付属品は革製ケースとイヤーピース3種類、クリップです。ケースの出来が良く、内側が布張りでしっかりとイヤホンを保護してくれそうです。イヤホンが合金製で使用に伴って傷が入ってしまいそうなのでしっかりした造りのケースはありがたいですね。



【音質について】

※上の表は音の量感を表したグラフで、高いほど高音質と言う訳ではないのでご注意下さい。環境はHiby R5直接続です。Chord&Majorのエージングプログラムを実施しています。
【低域】
キックやベースがあっさりとしており中高域を邪魔しない優しく下から包み込んでくれるような大人しい低音です。音の圧迫感は少な目でキックに締まりがありつつも硬くなり過ぎず、開放的な鳴りをしている印象です。窮屈さが余り無いので低音の左右への広がりがありサウンドステージも広く感じられます。やはりDD型だからかサブベースなど沈み込みのある低音の空気感の表現は上手く出来ていると感じます。低音好きの方はちょっと物足りなさを感じるかも知れませんが、聴き込む程にその低域の質感の良さを体感出来るようになっています。量感だけで押してこない上品さを持ち合わせています。
【中域】
低域に邪魔されず、高域にも押し負けない丁度良い量感です。ボーカルの定位もしっかり真ん中から聴こえます。若干ボーカルの線の細さというかレンジ感の狭さが気になりますがハイトーンや女性ボーカルとの相性が良い様にも感じられます。声の輪郭もしっかりと描写されつつ、刺さりもありません。ドライとウェットの中間のバランスですね。
【高域】
このイヤホンで魅力を感じた一番のポイントですね。ハイハットやシンバルなどの金物類が刺さりや尖りなくスッと自然に伸びてくれ、シルキーで耳ざわりの良い鳴り方です。残響感も少しあり、音の響きを楽しめる様になっています。この響きがメロディ帯の明るさや華やかさにプラスに働いてくれています。ストリングス系の伸びの良さは是非このイヤホンで味わって貰いたいポイントです。しかし曲によってはシャリ感がちょっと気になる事がありました。
【全体】
全体的にあっさりドライで中高域にフォーカスされたフラット寄りなサウンドに感じました。セミオープン型の影響か音に閉塞感が余り無いので、低音酔いや聴き疲れ無くさらりと聴き流せる印象を受けます。各帯域の癖が少なくバランスの取れたイヤホンに仕上がっています。解像感は低く感じさせない丁度良い塩梅で1DDながら帯域の分離感も感じられます。この分離感と低域のクドくない鳴りがすっきりとした音の印象を感じさせるのだと思います。逆に言うとちょっと淡々とし過ぎていて面白味に欠けていると感じる方も居るかも知れません。
チューニングはカリカリ過ぎず柔らか過ぎずの中間でバランスしており、こちらのイヤホンも一言で評価するのが難しいですね。アコースティック系からエレクトロ系まで幅広く順応してくれる懐の深さがある様に思います。個人的にはアコースティックなしっとり系の曲との相性が良い様に感じました。

今回試聴に使った楽曲の中では宇多田ヒカルの「BADモード」と合っている様に感じました。ベースの柔らかさと暖かみ、しっとりとした声を上手く表現してくれています。
最近のA10000イヤホンの完成度はほんと高くなってきましたね。他の手持ち達と比べても遜色ない音を鳴らしてくれています。低音の厚みの感じられる曲だとこのイヤホンのあっさり系サウンドが程よく中和してくれ非常にバランスよく聞く事が出来ますね。
レトロフューチャーな見た目が好みであっさり系のフラットなイヤホンを求めているならとりあえずこれを選んでも後悔はしない万能型なイヤホンだと思います。価格も比較的お手頃なためポタオデ入門にもプレゼントにも普段高価格帯を使っている方のサブ用にも活躍してくれるマルチな一品です。
eイヤさんなど店頭に並んだ際には是非試聴してみて下さい!
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